4月4日(月)より、「おかあさんといっしょ」(NHK Eテレ)内で、新しい人形劇「ファンターネ!」が放送開始する。想像上の生き物・動物・植物など、あらゆる種族が一緒に暮らす島・ファンターネ島を舞台に、「可能性と多様性」をテーマとして描かれる本作。主人公がカッパ、ライオン、ひょうたんという組み合わせも話題を集めている。梶原真名美プロデューサーに話を聞いたところ、現実世界の子どもたちの多様性を、キャラクターを通じて人形劇の中でも表現しようとする工夫が見えてきた。
国籍、家庭環境、性自認など、様々な多様性を表現
「ファンターネ!」のメインキャラクターは、カッパの女の子・みもも、ライオンの男の子・ルチータ、性別のないひょうたんの子ども・やころ。この3人の設定には、現実世界に存在するさまざまな多様性が反映されている。
まずルチータは遠くの島からファンターネ島にやってきたため、まだ島について知らないことがあるという設定だが、これは海外にルーツを持つ子どもたちと、それによって生じる文化の違いの存在をふまえている。やころには両親がおらず、8人兄弟で助け合って暮らしているが、これも様々な家庭環境の子どもたちがいるということを反映した設定だ。
さらに、やころは植物なので性別を持たない。「男の子らしさ・女の子らしさという視点のエピソード自体が多くはないのですが、そういったことに言及するお話の中でも、やころは男の子・女の子どちらでもない存在・やころとしての考え方で自由に意見を言える。そこに共感するお子さんもいるかもしれませんね」(梶原P、以下同)
また、男の子のルチータの夢はバレエダンサー。「今の日本では、男の子がバレエダンサーという夢を持つのは、もしかすると言うのが少し恥ずかしいと感じるお子さんもいるかもしれません。でも、どんな夢を持つのも自由だよということを意識しました。ちなみに、みももは何になりたいかを決めていなくて『何にでもなりたい!何にでもなれる!』というキャラクターです」
カッパ、ライオン、ひょうたんというチョイスの理由
「おかあさんといっしょ」では、古くからコーナーアニメ「こんなこいるかな」(1986年4月-1991年3月)で子どもたちの幅広い個性を描くなど、多様性の尊重が大切というメッセージを発信し続けてきた。しかし「ファンターネ!」は個人の性格の多様性だけでなく、より社会的な多様性に一歩踏み込んで描いている点が新たな挑戦だろう。
「実際のところ、お子さんたちは周りのお友達との違いを、大人たちよりもスムーズに受け入れることができていると思います。なので人形劇の中にも、それを反映しようと思いました」
ちなみにカッパ、ライオン、ひょうたんという独創性あふれる並びは、いったいどのように決まったのか。
「想像上の生き物、動物、植物をそれぞれ何にするか、制作陣で何度も何度も話し合いましたね。架空の生き物については、天狗などいろいろな案が出ましたが、お子さんたちが絵本などでも触れていて、ある程度知っている身近な存在がいいよねということで、カッパにしました。動物は、遠くの島から来たという設定だから西洋の動物というイメージがあって、お子さんたちの人気も高いライオン。ひょうたんは、丸いフォルムのかわいさと、一度にたくさん実がなるので、8人兄弟というイメ―ジに合うと思って決めました。もしかするとひょうたんは、お子さんにはちょっと馴染みが薄いかもしれませんが、これをきっかけに図鑑などで調べてもらえたらと思います」
ファンターネ!
NHK Eテレ「おかあさんといっしょ」内で放送毎週月曜-土曜朝7:45-8:09
再放送は毎週月曜-金曜夜6:00-6:24、毎週土曜夜5:00-5:24
公式サイト
https://www.nhk.jp/p/okaasan/